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禍々しいのに何故か読むのが止まらなくなる怪談本、「呪術怪談」のススメ

こんばんは。

先日いつも通り仕事をしていると不運にもパソコンのアップデートに巻き込まれてしまい、全作業が中断してしまいました。

急遽何もやることがなくなってしまった私は暇つぶしに怪談読書を始めてみたところ、なんとたまたま選んだその本が大当たり。あっという間に読み終わってしまいました。

すごく面白い作品だったので、そのままシェアさせて頂くことにしました。

オカうさ
オカうさ

読むのが止まらなくなる呪いだったのでは・・?

いきなりハードルを上げてしまいましたが、本日ご紹介するのは竹書房からつい最近(2021/10/29)発売されたばかりの「呪術怪談」です。

それでは早速いってみましょう。

呪術怪談」とは

タイトルからも分かるように本作は呪いに関する怪談のみを集めたなんとも禍々しい作品となります。

予め言っておきますと、本作には幽霊などの直接的な表現は出てきません。それに伴って、「天井から女が降ってくる」ような派手さはありません。

そういう直接的な怖さを求めている方にはもしかすると合わない作品かもしれないですが、なんだかそれだけにいつ自分が同じ目に遭ってもおかしくないような現実味があるんですよ。

かと言って、いわゆる人怖(人の怖い話)の類に振り切ってるのかと言われればそういうわけでもない、自然と超自然の狭間にあるような丁度良い作品となっております。

また、本作は複数の怪談作家がそれぞれ蒐集した怪談を持ち寄って作り上げるオムニバス形式をとっています。

勉強不足からかその中に知っている作家さんは1人もいらっしゃいませんでしたが、有名怪談師以外にもこんなに素晴らしい恐ろしい話を蒐集している人がいるんだな、と胸が熱くなってしまいました。

ちなみに今回ご紹介する「呪術怪談」は2022年2月現在、kindle unlimitedで読み放題で読むことができます


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おすすめ怪談

ここでは本作の中でも特段私が興味を引かれた話のあらすじをご紹介したいと思います。

気になった方は是非本作を実際にチェックしてみてださい。「親子水入らず」という話です。

体験者の勤務先にはもう少しで70を過ぎた高齢の警備員で長谷川という人物がいた。

この長谷川、性格は穏やかかつ愉快でありながら、ちょっとした融通も利く。

また、気が良いだけでなく、かつて反社会勢力の人間が乗り込んできたことがあったが、そんな時には一歩も引かずに毅然とした態度をとるといった度胸も持ち合わせていた。


そんな彼はよほど凝りが酷いのか、常に両肩を撫でている。そしてそのせいで左手の小指が根本から欠損しているのが見て取れた。

先述の有事の際の落ち着きぶりもあり、周囲からは彼自身が昔任侠の世界にいたのではないかと陰で囁かれていた。


ある日、体験者は長谷川と2人で話す機会があった。

その時につい好奇心が湧いてしまい、失礼は承知でついその欠損した小指の話を聞いてしまった。

長谷川は日頃の穏やかな顔を変えずに話を始めた。

今から半世紀以上も昔、終戦直後のとある地方の山村での話である。


戦争が終わって復興に向けて歩みを始めていたとは言え、世の中はまだまだ貧しい人で溢れかえっていた。

地方の山村と言えば尚更で、村人たちはみんな貧困に喘いで、滅びるのをただただ待つだけのような状態であった。

そこで目を付けたのが村の神社の裏山に生える杉の木だ。当時、材木の価格は高騰していたのだ。


しかし、その一帯は古くから禁忌の場所とされており、伐採どころか小枝一本動かしてはならないと厳しく戒められていた。

いくら金の為とは言え、そんな場所に生える木を伐採したがる者は誰もいない。しかしこのまま何も手を打たないわけにもいかない。

村人たちは誰が木を伐採するかで揉めに揉め、遂に選ばれてしまったのが長谷川の父であった。

少し長くなってしまいましたがこれが「親子水入らず」のあらすじです。

ここまで読んでも一体何が親子水入らずなのかさっぱり分からないことでしょうが、とても面白い話でした。

勤務先の人が良い人だけどどこか影のある爺さんで、蓋を開けてみればとてつもない過去を抱えていたって話ですね。


さて、オカルト好きの皆さんからこれだけを読んだだけできっとピンと来ることかと思います。

ご想像の通り、この禁忌の場所の木を伐採したことが、長谷川さんのその後の人生に深く関係してくるわけです。

でもね、あらすじに書いたようにこれって戦後間近の話なんですよ。それからとんでもない程の年月が経っているわけです。

そんな遠い昔の出来事が今なお影響を及ぼし続けているのだと考えると、呪いとは本当に恐ろしいものなのだなと感じます。我々にとっては長い年月のことでも、彼らにとっては一瞬のことなのかもしれませんね。


それでは、もう一話ご紹介したいと思います。とても恐ろしかったのが「ステッカー」という怪談です。


体験者は若い頃にステッカー屋を営んでいた。

お客からの持ち込みのデザインのものを印刷してステッカーにしたり、逆に体験者の方からデザインを提案してステッカーを作成したりするのだそうだ。

そういったステッカーは地元の走り屋の車に貼られたり、リトルリーグチームのエンブレムとして使われたりするらしい。


ある日、店にやってきた見慣れない客が変な依頼をしてきた。

それは、ステッカーの表面には何でもいいから適当にデザインしたものを印刷して、裏面、つまり糊付けしてあるシール部分にはあるデザインを印刷して欲しいというものであった。


体験者は訝しみながらも裏面に印刷して欲しいというそのデザインを確認してみることにした。

デザインは光磁気ディスクにいれられてあり、パソコンにいれてチェックする。

ファイルを開くと、なぜか体験者はディスプレイから反射的に目を背けてしまう。

一見バーコードのように見えるが、それを見ようとするとなぜか心拍数が跳ね上がり、本能が見てはいけないと告げてくるのだ。

本来ならばそんな不気味な依頼は断りたい。

だがこの時は売上が低迷していてお金が欲しかった。

そこで、本来ならば絶対にあり得ないような相場から外れた見積もりを出して、その客の反応を試すことにした。

すると、相手はそれを二つ返事で了承し、その場でお金まで置いていった。

こうして体験者は、この怪しい依頼のステッカーを作成することになってしまった。

どうでしょうか。

この時点ですでに曰くありげな感じがプンプンしますよね。

ステッカーという現代的なものと呪術という古典的なものの組み合わせがとてもアンバランスで、すごく新鮮でした。

そう考えると街中に貼られたステッカー、貼ったままにしてて良いんですか?

そのバーコードのようなデザインが一体どんなものなのか、依頼してきたその客は一体どこでそんなものの存在を知ったのか、考えれば考えるほど味の出る話だなと思います。

非常に面白かったです。

感想、思うこと

例えば人が不審な事故に巻き込まれてしまったとします。

すると、何故か被害者の持ち物の目立たないところから誰が見ても呪詛の類だと分かるような物が出てきた。そんなような体験談がひたすら並べられているのが本作でした。

この社会において事故の事実はともかく、「呪詛の類いだと分かるような物が出てきた」ことはまず報道されませんよね。

ですが実際は我々の耳に入らないだけで、そういう得体の知れない物が絡んだ事件や事故というのはよくあることなのかもしれません。

だからこそ我々はそういうことはこの世に無い事だとして、平穏無事に生活を続けることが出来てきます。

この本を読んで、ふとそんなことを考えてしまいました。

たしかに不幸が起きたことと、呪物の関連性について確かなことは何も分かりません。

ただ重要なのは、なぜそんな不審な事故に限ってそんな不審な物が関わってくるのかということだと私は思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

個人的に今回すごく「当たり」の作品でした。上記で紹介した話はどちらも面白かったですが、たまにこういう怪談に出会うことができるから、オカルトはやめられません。気になった方は是非実際に本編を読んでみて下さいね。

オカうさ
オカうさ

くそったれのアップデートに大感謝ですね

しかし、本記事のアイキャッチ画像(記事一覧で表示される看板の画像)ですが、よく見れば沢山の手が写っているのがお分かり頂けるかと思います。

これ、素材となった元画像は数人の仲間たちがそれぞれの手を重ねてハッピー!みたいな画像だったんですよ。

それが少し加工するだけでなんとなく不気味な画像になってしまうんですから、見た目だけでは物事の本質は分からないという良い教訓ですね。

それではまた。