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復讐を手伝う黒いバス。新たな代表作が誕生した「怪談狩り 黒いバス」

こんばんは。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
ついこの前まであれだけ暑かったのに、東京はすっかりと肌寒くなってきてしまいました。秋は大好きです。

さて、いよいよ出ましたね。
そうです。中山市郎の新作、「怪談狩り 黒いバス」です。

オカうさ
オカうさ

4年ぶりでしょうか

本当は発売当日に読破してサッと記事にあげるのがスマートなのでしょうが、中々時間が作れずにだいぶ後発となってしまいました。

今回のサブタイトルでもある「黒いバス」ですが、中々パンチのある話となっております。本の帯にも「『山の牧場』に匹敵する新たな代表作誕生!」と書かれているくらいなので、中山先生ご本人も凄く関心を寄せられているのではないでしょうか。

前作の発売からのこの4年間、どういう方法で体験者と出会い、どういった経緯で取材を進めたのかと考えると胸がワクワクします。

怪談狩りとは?

本日ご紹介する「怪談狩り」は中山市郎さんが書くシリーズもので、「新耳袋」に代わる新たな代表作品です。
新耳袋に比べるとどうしても知名度が劣るイメージのある本作品ですが、個人的にこちらの方がエグい話といいますか、化け物じみた話が揃えられている気がします。

絶対に読んでほしい怪談書籍、名著「新耳袋」をご紹介

あの中山市郎さんが書いてるだけあって非常に面白い作品なのですが、こうして個別におすすめ記事として紹介するのは初めてでした。

おすすめの話

それでは今回の怪談狩りの中で特別私が面白いと思ったものをご紹介したいと思います。

ちなみに1番のおすすめは、やっぱり「黒いバス」ですかね。

ハトが出る

当時その街の広場には手品をするおじさんが来ていたという。おじさんは子供たちを集めると、手品を見せながらお菓子を売るのだ。

その日も広場におじさんがやってきた。おじさんは子供たちを集めると、いつも通りお菓子を売りながら手品を始める。

おじさんは色々な手品を披露するが、子供たちの1番の目当てはそれではない。ハトを出す手品だ。子供たちは次こそはハトの手品だ!とワクワクしながら待ち続けている。

そして遂にその時が来た。おじさんがハトの手品を始めると、子供たちは大喜び。

おじさんがステッキで3度自分の腕を叩く。何もない腕の中からハトが現れるはずだ。

だが、その時そこに現れたのは・・・。

こういう話、大好きなんですよね。

短いですし、怨念渦巻くおどろおどろしい話というわけではないですが、現世と冥界の境界が曖昧になるようなそういう瞬間が、なぜかときどきこの世の中にはあるんですよね。

メガネ

非常〜に興味深い話です。

Y子さんのお母さんは最近メガネを新調したばかりだというのに、もう新しいメガネを買い替えたいと言い始めた。

度でも合わないのかと思いながらも、仕事の忙しさからそれを放っておいたY子さんだが、段々とお母さんの様子がおかしくなっていくことに気づく。いつもソワソワとして落ち着きがなく、以前と違ってイライラとしている。

おかしいと思ったY子さんはお母さんにその理由を尋ねると、なんと、そのメガネが原因なのだという。お母さんが言うには、そのメガネをかけ始めてからおかしな物が見えるようになり始めたのだと。

まさか、そんなことがあるわけないと思いつつもY子さんはそのメガネをかけてみることになった。

ご存知の方がいるかは分かりませんが、その昔「ゼルダの伝説 時のオカリナ」というゲームで「まことのメガネ」というアイテムがあったんですよ。

そのアイテムを装備すると、魔力ゲージの消耗と引き換えに、目に見えないモンスターやアイテムが見えるようになるという大変ありがたいアイテムでした。当時の私はまだ子供でしたが、このアイテムは凄く面白いアイデアだな!と感心したものです。

ですがその「まことのメガネ」と同じような機能を持った「アイテム」がまさかこの世の中に実在しているなんて、数十年越しの感動でした。

「人が想像できるものは実現できる」ってことなんですかね。

オカうさ
オカうさ

なんかちょっと違うんじゃない

黒いバス

今回のサブタイトルにもなっております、「黒いバス」です。

サブタイトルに選ばれるだけあって、かなり興味深い話でした。
中山さんもどこか、これは大作シリーズになるぞという予感があったのではないでしょうか。時間も場所も違う場所で目撃された「黒いバス」の話が、実に4話も収録されています。

体験者の方いわく、それはどこからともなくいきなり現れるそうです。時には住宅街の中で、時にはパイナップル畑の中で。
普通のバスが通れる筈もない荒れた地形を「まるで幽霊のように」走り抜け、金網のフェンスですらすり抜けるように通過して行くのだとか。

その特徴は一見するとバスを連想させるのだそうです。ただ、普通のバスとは違ってそれには窓やサイドミラー、灯りもなく、長方形の黒い箱にタイヤがついているだけなのだそうです。

ではそんな奇妙な黒いバスですが、乗客は全員幽霊で行き先は黄泉の国…なのかと言えばどうやら少し違うみたいです。
この黒いバスが現れるのは、それが幽霊であれ生者であれ、強い恨みを持つ者の前にです。親戚に虐待された恨みを持つ幽霊、子供を亡くした母親、米兵に婚約者を奪われた男性など、、。
そんな者たちの前に黒いバスはどこからともなくふらっと現れ、バスの中からバスガイド(の格好をした女性)がこう声を掛けてくるのだそうです。「乗りますか」「悔しいでしょう」「お手伝いしましょう」と。

恐らく、このバスは恨みを持つ者たちを乗せて走り、その復讐の手助けをしてくれるのです。実際、黒いバスから友人の霊が降りてくるのを目撃してしまった体験者は、その友人の死のキッカケを作った人物たちが次々と怪死するのを目の当たりにしてしまいました。

そんな「世にも奇妙な物語」に登場してもおかしくないこちらの黒いバスですが、面白いことに、その内の2つの体験談は四国が舞台なんだそうですよ。ちなみに残りは沖縄と、正確に言及されてはいませんが奈良の可能性があります。

いつかこれに関する考察なんかをしてみるのも楽しそうですね。

しかし、中山先生。「山の牧場」の時もとことん調べられたみたいなので、いつしかこの黒いバスに遭遇し、そのまま乗り込んでしまうのではないかと心配です。(最終話で黒いバスに実際に乗り込んだ母親の話がありましたが、途中で降りてしまいました。)
その先は一体どこに連れて行かれてしまうのでしょうか・・。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

「おすすめの話」でも書きましたが、個人的には「黒いバス」の話にとても興味が湧いてしまいました。

正直、単純に怖いだけの話なら他にもあると思います。この話にはネット怪談の「八尺様」のようなジリジリ追い詰められる恐怖みたいなのはありません。ただ、「復讐を果たした後は一体どうなるのか?」「バスガイドやバス自体に、何の目的があるのか?」というような、想像が勝手に膨らんでいく類の恐怖があるんですよね。今後も継続して情報が出てきてくれるととても嬉しいです。

こちらの「怪談狩り 黒いバス」はさすがに最新作すぎたのか、残念ながらkindle unlimitedにも入っておりませんでした。

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もし興味が湧いたよ、読んでみようかな!という方は是非実際に読んでみてください。

それではまた。