こんばんは。
今日は久しぶりに沖縄に関連したオカルトをご紹介したいと思います。

オカルトも沖縄も大好きです
今回ご紹介するのは「マブイ」です。
マブイというと一昔前のヤンキー漫画でリーゼントの兄ちゃんが美人な姉ちゃんを形容する言葉でしたが、沖縄においてはどうやら魂のことを指すそうです。
しかも「マブイを落とす」「マブイを拾う」、つまりは「魂を落とす」「魂を拾う」なんていうように使われるそうで、あんまり穏やかではありません。
今日は、そんな気になるマブイについて研究していきたいと思います。
ちなみに私は強い憧れと関心はあるものの、残念ながら沖縄とは縁もゆかりもない人間です。その為、このマブイの概念が実際にどれくらい沖縄県民の日常に根付いているのかについては全然ピンときません。
もし沖縄県民だけどめっちゃ根付いてるよ!とか、実際に友達がマブイを落としてね…みたいなことがありましたら、是非ともインスタのDMやコメントからでも教えていただければと思います。
マブイを落とす
さて、先程申し上げましたように「マブイを落とす」とは魂を落とすことの意味なわけなんですが、一体マブイを落としてしまった人間はどうなってしまうのでしょうか?
言葉だけ聞くとやはり死への直結を想像してしまいますが、幸いなことに魂(マブイ)を落としてしまったからと言ってそのまま命を落とすということはないようです。
その証拠に、「沖縄の怖い話 琉球怪談物語集」ではマブイを落とした後、最低でも20年間は生き続けている方の話が書かれていました。どうやら、沖縄においては命と魂はイコールではないのですね。

人間には7つのマブイがあるのだそうですが、例えば事故に遭ったり、ひどくビックリしたとき、あるいは悲しいことがあった時にそのマブイが体の外に飛び出てしまうことがあるのだと言います。これがいわゆる「マブイを落とす」ということなんですね。
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マブイを落としたらどうなるの?
それではマブイを落としてしまったら一体どうなるのでしょう。
小原猛さんによると、それは多くの場合、心の不調になって表れるようです。
心にぽっかり穴が空いたような、空虚さに包まれる感じ。まるで自分の人生を生きている気がしないような、そんな感覚に悩まされることになるのだそうです。
人によってはもしかしたらなんだそんな程度のことかと思うかもしれませんが、先述の「沖縄の怖い話」の「フツダーミ」という怪談ではそれで20年間も苦しんでいる人の話が出てきました。
私が思うに心の充足がない人生はとても空虚であり、それはとても辛い物なのではと想像します。直接的に命を落としたり怪我をしたりはしなくとも、もしかしたらそれがキッカケとなって自発的な「死」に繋がることはあるのかもしれません。
また、物理的な現象で言えば身体の不調、頭が重かったり体がだるかったりなどの症状もあるようですし、さらにはドッペルゲンガーのように、もう1人の自分を目撃したりすることまであるようですよ。
ビックリしただけでこんな目に遭うのならたまったもんじゃありません。
落としたマブイ、魂を戻す方法はないのでしょうか。
落としたマブイは拾わなければいけない
さて、ピンと来た方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。落としたマブイなのですからちゃんと拾う事もできます。
出来る限り早くマブイを落とした場所に戻り、拾って体内に戻すわけですが、これを「マブイグミ」と呼びます。
このマブイグミですが、仮に本人が行けない場合は代理の者がそこに出向き、石の中に落ちたマブイを入れ、持って帰ることも可とされているそうです。
マブイグミはただそこに行けば良いというわけではなく、呪文を唱えなければなりません。
その時の呪文は「マブヤー、マブヤー、ウティキミソーリ」です。
これは「魂よ、魂よ、こちらに来てください」という意味なんだそうですよ。
- マブイを落とした現地に出向く(この時代理人でも可)
- 3個の石を用意する
- 「マブヤー、マブヤー、ウティキミソーリ」の呪文を唱える
- 帰宅後したら「マブヤーメー、マブヤーイシー、マブヤーマブヤー、ウーティクーヨー」の呪文を唱え、魚で作った汁と握り飯を食べる
※どうやらおにぎりの数や線香が必要になったりなど、地域によって異なるようです。
このマブイグミを、出来る限り早く行わなければいけないといいます。というのも、落ちてしまったマブイはしばらく経つと消滅してしまうからです。当然そうなると2度と元に戻らなくなってしまうのですね。恐ろしいです。
ちなみにもし日常生活の中で「今マブイを落としたかもしれない!」という状況があって、その直後であれば、マブイを地面からすくい上げて胸に当て、「マブヤーマブヤーウーティクーヨー」と呪文を唱える方法もあるのだとか。
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マブイに関する怖い話
このマブイを落とすことに関しての怪談は以前紹介した小原猛さんの「琉球奇譚」シリーズに沢山出てきます。
その中の一作、「マブイグミの呪文」の中の「マブイグミの呪文」という話では、タイトル通りマブイを落として拾い直した方の話が書かれています。
バイクに乗るのが好きな石垣さんは、ある雨の日にスリップして2週間のケガを負ってしまった。2週間のケガなので本来なら軽いものであるはずだが、日にちが経つ毎になんだか、自分の人生を生きていないような、そんな空虚な気持ちに包まれるようになってしまった。
そこで思い出したのが、亡くなったオバアが常日頃話してくれていた、マブイの話だ。当時は話半分に聞いていたが、これはそのマブイが関係しているのかもしれないと思った石垣さんは、退院と同時に事故現場へと向かい、マブイグミをすることにした。現場に着くと石垣さんは早速、マブイグミの儀式に必要な石を3つ拾い集めようとした。が、3つ目の石がどうしても見つからない。そこで、明らかに何かのガラスの破片であったものを石と見立て、儀式を始めることにした。
マブイグミをしてから石垣さんは、入院中とは別の、まるで自分が自分じゃないような感覚に襲われるようになってしまった。そして実際に、趣味や生活、性格までもがガラリと変わってしまったのだ。例えば、朝食には今まで一度も選んだことのない食パンを食べるようになった。事故の原因でもあるバイクにも乗りたいと思わなくなった。確かに事故に懲りてバイクが嫌になったという捉え方も出来るが、心の底から湧き上がるようなバイクに対しての情熱がなくなってしまったのだ。今まで1度も行ったことのないキャバレーに1人で通うようになり、挙げ句の果てにはそれを不審に思った彼女に乱暴な言葉遣いをするまでになってしまった。
あまりの変貌ぶりに彼女が心配し、遂に石垣さんはユタに診てもらうことになった。すると、驚くべきことが判明する。
他にも面白い話(怖い話)が沢山収録されているので、気になった方はぜひ実際に本作を読んでみてください。いまならkindle unlimited対象書籍なので、無料で読むことが出来ます。

まとめ
というわけで今日は沖縄で語られる「マブイ」についてお話しさせて頂きました。
以前書いた「神ダーリ」もそうでしたが、沖縄の怪談となると普段私が見聞きする怪談とは毛色が違くて面白いんですよね。

さて、怪異は場所や文化に関係なく、普遍的に訪れるものだと私は考えています。その為、仮に沖縄以外の土地でも言い方は違えど「魂の大事な一部を失くしてしまう」ことはもしかしたら頻繁に起きていることなのかもしれないと思いました。
原因なんて何もないのに、ふと虚しさを感じる瞬間ってありませんか?

僕ですらありますからね
そんな時、もしかしたら私たちは何処かでマブイを落としてしまっているのかもしれません。落としてしまった魂は拾うのをお忘れなく。