≫ 怪談読み放題はコチラから ≪

後日譚・「気味の悪い豪邸」から考える。心霊体験は精神に影響する?

こんばんは。

今日は以前書いた、「気味の悪い豪邸」の後日譚を書きたいと思います。
ただ、それだけでは話が短い上にいまいち盛り上がりに欠けるので、そこから一歩踏み込んで心霊現象による弊害について考察していきたいと思います

かつて住んだ家の怖い話、明らかになった因縁。「気味の悪い豪邸」

後日譚からの導入で考察していきますので、「気味の悪い豪邸」の話を先に読まれることをおすすめします。

オカうさ
オカうさ

少し長くなってしまったのですが、どうぞお付き合い下さいまし。

後日譚

あの豪邸を出て、Rさん一家は同じ街の中でマンションに引越すことになったそうだ。豪邸を出た理由は霊現象などは関係なく、単に契約の都合だとかそういったことだったらしい。
引越してからというもの、家に関しての恐怖はなくなったそうなのだが、変わりに別の問題が浮上し始めたのだという。
母親がおかしくなったのだ。

まず、いきなり家庭を省みなくなった。それまで優しく家庭想いの母親だったそうなのだが、それが一変した。
夜遊びが増えた。日付が変わっても帰って来ず、それを咎める父親にも毒吐く。
家族のご飯も作ってくれなくなったし、「ちゃんと」接してくれなくなってしまったのだという。
今まで何処かに連れて行ってくれたりもしたのに、そういうことも一切なくなった。それまでのお母さんは決してそんな人ではなく、まるで別人のように感じたそうだ。

そして、酒も異常な量を飲むようにもなった。そしてその酒癖がまた酷かった。
深夜、家族が寝静まった頃になるとマンションのエントランスから何かを蹴っ飛ばしたり、怒鳴りつけるような声が段々と近づいてくる。それは母親が帰ってきた合図なのだという。幼いRさん兄弟はそれが怖くて怖くて仕方がなかった。
警察を呼ばれたことも何度もあった。母親が隣人のドアを蹴飛ばして回るからだ。幸い、大きなご近所トラブルにはならなかったものの、流石に居づらくなって、そこのマンションには長く住めなかったそうだ。

そして特にこれが怖かったそうなのだが、日常生活の中で奇行が目立つようになったのだという。たまに家にいると思ったら「目玉がこっちを見ている」と言ってガムテープを貼って家の中のあらゆる隙間を埋めようとしたり、「うるさい!」と怒鳴りながら棒で天井を突いたりする。もちろんRさんには何も見えない、聞こえないのに関わらずだ。
挙げ句の果てには「あの家から尾いてきた」なんて事まで言い出す始末なので、本当に怖かった。
もっともRさん自身はこの時はまだ、以前の家と霊との関わりは考えていなかったそうなので(幼すぎてそういう認識が無かったこともあるのかもしれない)、単に「お母さんがおかしくなってしまった」としか考えていなかったそうだ。

ただ、父親からの話を聞いた今となっては、豪邸に住んでいたことと母親の変化に因果関係が無い事だとは思えなくなってしまったのだという。

考察・心霊現象による弊害

さて、以上が「気味の悪い豪邸」の後日譚として私が聞いた話でした。そしてこれらを踏まえた上で、ここからは心霊現象による弊害を考えていきたいと思います。

様々な種類の弊害

視た・聞こえただけならまだしも、怪談の登場人物たちは往々にして、心霊現象の様々な弊害を受けます。
1番ポピュラーなところでは失神でしょう。幽霊に遭遇した挙句、気を失ってしまう話は数多くあります。
それだけならまだしも、命を落とすことすらありますよね。
1番すごいラストでは三木大雲和尚が語る、「まだそんな年齢でもない若者があまりの恐怖に白髪頭になり、眼球は飛び出し、死んでしまった」なんて話もありました。(しかもこれ、どうやら科学的に起こり得ることらしいですよ、、)

そんな弊害の中の1つとして、精神に異常を来たす、頭がおかしくなってしまうという現象があります
気を失うだけならまだしも、怪異が終わった後にも「お土産として持たされる」ような後遺症は本当に怖いと思います。
ですが、心霊現象や未知の体験が精神に影響を与えることは多々あるようです。

心霊現象は精神に影響を与えるのかもしれない

先日おすすめホラーとして紹介した書籍「沖縄の怖い話」では「神ダーリ」と呼ばれる現象が頻繁に出てきます。

誰もが憧れる楽園にまつわる怖い話。怪談書籍「沖縄の怖い話」

この「神ダーリ」はいわゆる「神懸かり」の方言らしく、簡単に説明すると、それまでユタの能力が無かった人にその能力が発現するときの兆候みたいなものだそうです。

この神ダーリにかかった人はいきなり言動が意味不明なものになったり、神様の声が聞こえるようになったり、記憶がスッポリとなくなったりする。そして、それが数年も続くことがあるそうです。これはユタになるための通過儀礼のようなものらしいのですが、客観的に見れば精神に異常をきたしてしまったのだと考えてもおかしくありません。

また、都市伝説である「くねくね」も、人の精神に影響を及ぼす類のモノです。それを見続けることによって、「頭がおかしくなる」のだそうです。
そして程度の違いはあれど、Rさんのお母さんだって客観的に聞けば、十分そういった部類の話に聞こえてしまいます。

このように、関係を持つことによってその人の精神状態に大きく影響を与えてしまう心霊現象の話は沢山あります。(「神ダーリ」や「くねくね」が心霊かはさておき)

そして、現代においてそれは残酷なことに単なる病として片付けられてしまうのです。

「様子がおかしくなった」と「精神に異常をきたした」の違い

スケールは少し小さくなりますが、人の死が関連した場所に行くと急に気分が落ち込んだりする人っていませんか。私は、この気分の落ち込みと「精神に異常をきたしてしまった」は本質的には同じ現象なのではと考えます

人の死が関連した場所に行って気分が落ち込むこと自体は、心霊現象とは別に認識されている節があるようで、実際によくあることです。
私の学生時代には修学旅行で沖縄の“ガマ”に行って急に泣き出す子がいましたし、広島の原爆ドームに行って泣き出すクラスメイトがどこどこの組にはいた、という話は何度も聞いたことがあります。
たしかに凄惨な歴史があった場所で気分が落ち込むのは、他人の立場に自分を置いて考えられる証拠であり、立派な人柄の表れだと思います。ですがガイドの説明を受けながら声を上げて涙を流し、友人たちに抱えられて介抱される姿は客観的に見てどこか「様子がおかしい」という印象でした。
テレビ番組でも、心霊スポットに行って急に「様子がおかしくなる」ADが霊媒師に背中を叩かれる姿はよく写されています。(あれはヤラセかもしれませんが)

これらは全て一過性、短期的なものなので、「様子がおかしくなった」で語られます。ですが、もしその状態がずっと続いたとしたらどうでしょう?
恐らく、「頭がおかしくなった」(=精神に異常をきたした)で語られるのではないでしょうか。

スポンサーリンク

「念の強さ」と「念に触れた時間の長さ」

では「様子がおかしくなった」で済む場合と精神に異常をきたしてしまう場合の違いはなんなのでしょうか?

私が考えるそれらの違いを生む要因の1つは、残っている念の強さです。

私はご存知のように霊感なんてものはないので分からないのですが、人の念は残るものなのだと言いますよね。そして、その念を察知できるアンテナを持っている(=共感能力の高い)人間が、そういった現象にあうのだと。
「残る念」なんて言うと何か特別に聞こえますが、「空気を読む」だとか目には見えない気配を感じ取ること自体は私たちも毎日やっているはずです。

オカうさ
オカうさ

もっとも空気や気配だったらずっとは残らないけどね

ではもし、そのアンテナが壊れるくらいの強い念に当てられた場合、どうなるのでしょうか?
それだけ敏感なアンテナなのですから、持ち主の本人に悪影響が出てしまってもおかしくないのではと思います。

そしてもう1つは、その残った念と接している時間の長さが関係するのではと思います。
実際に住んでしまったりした場合ですね。事故物件に住み続けてしまったせいで精神に異常をきたしてしまう人の話はよく聞きます。そう考えると、先述のRさんのお母さんももしかしたらそういうことだったのでは?と推測してしまいます。

様子がおかしくなった番組AD・ガマで涙を流したクラスメイトたちも、もしかしたらその場に居続けたらもっと強い影響が出ていたのかもしれません

まとめ

このように、心霊現象には数多くの弊害があります。今回はその中で「精神に異常を来たす」ことについての考察をしてみました。

先ほども言いましたが、心霊現象との関係が途切れても影響が及び続けるというのはとても怖いです。その人が数十年かけて培ってきた精神、ひいては人格をごくごく短い期間で破壊してしまう…それがこの現象の怖さだと思います。
そう考えると本来、人はそういった現象とは関わらずに生きるべきなのかもしれませんね。そしてだからこそ、「異界」なんて言い方をするのかもしれません。

オカうさ
オカうさ

けれど好奇心は止まらない、、

また、常々考えていることなのですが、、
私が思うに「他人に理解できない言動」を起こすばっかりに、いわゆる精神異常のレッテルを貼られてしまった人はごまんと居ると思います。
ですが、果たしてその人たちは本当に全員単なる精神異常だったのでしょうか?
先の話で言えば、「誰かが見ている」「音がうるさい」「あの家から尾いてきた」は本当にデタラメだったのでしょうか。
もしかしたら彼ら、彼女たちには本当に何かが視えていたりするのかもしれません。