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深夜のドライブで体験した怖い話。「樹海で聞いたお経」

こんばんは。

私は日頃から公言しておりますように、霊感というもの全くありません。心の目が曇っているのか、それとも心が澄みすぎて逆に近寄りがたく思われているのかは分かりません。
ただ一度だけ、理解出来ない不気味な現象に遭遇したことがあります。

何かを見たわけでもないですし、そういった現象かどうかも分かりません。
ですが数年経った今でもあの体験は何だったのかと思い出すことが多々あるので、今日はそんな話をしていきたいと思います。

オカうさ
オカうさ

何か情報があれば教えて下さい。

というわけで、今日はそんな私が体験した貴重な怖い話です。

樹海で聞いたお経

まだ大学生の頃、私は同じバイト先に勤めるSとのドライブにハマっていました。とはいっても運転はS頼みで、免許を持っていない私はいつも助手席に座り、車内のムードを盛り上げる曲をカーステレオに繋いだスマホから流す、通称“DJ”という任に就いていました。2人とも学生ということで何のしがらみも無く、更にはお互いあまり真面目とは言えない学生だったので、深夜に集合しては車で繰り出し、明け方に帰宅するというそんな毎日でした。

ある日、今夜の行き先を考えているうちに、「富士山で日の出を見よう」ということになりました。今から出れば恐らく到着は夜明け前くらいになるが、少し時間を潰して日の出を見て、どこかで風呂の一つでも浴びて帰ればいいという算段です。
そうと決れば人数は多い方が楽しい。途中で後輩のTを拾い、3人で富士山まで向かいました。

向かっている途中はやっぱりとても楽しかったです。元々仲の良い3人がちょっとした若さに任せて無計画の小旅行をするわけですから、これはもう楽しくないはずがありません。
そうとなれば私も仕事をさぼるわけにはいきません。“DJ”の仕事を見事にこなし、車内の雰囲気は絶好調に達しようとしていました。正直、私も他の2人も日の出を見ること自体はどうでも良かったのでしょう。みんなでバカ騒ぎしながらするドライブ、それが目的であったし、楽しかったのだと思います。

やがて車は甲州街道を下りいくつもの峠を越えて、遂に山梨県に入りました。
しばらく走り、メロディーポイントと呼ばれる道路に設置された仕掛けのあたりを過ぎた時、ふと自分たちがいわゆる“富士の樹海”の真っ只中を走っていることに気づきました。
正確に言えばもしかすると富士の樹海ではないのかもしれませんが、その近辺なことは間違いありません。

知っての通り、ここでは何人もの人が命を落としています。どの山や森も多かれ少なかれ人の命を奪ってきたわけですが、ここは世界的にも有名な“自殺の名所”です。
目の前の樹海は、一体何人の命を飲み込んできたのだろうか。この人気のない山中に一台だけ無人の車が停まったりしていたらそれは何を意味するのだろう、、
何が起きてもおかしくない、、、

そんなことを考えていたまさにその時、カーステレオから流れていた音楽がいきなり切り替わり、お経が流れ出したのです。瞬間、脳裏には何人もの僧侶が一心不乱にお経を唱えているイメージが。

完璧に体が固まりました。車内の空気がガラリと変わり、私以外の2人もはっきりと青ざめているのが分かります。
繋いでいるのは私のスマホです。いくらオカルト好きの私と言えど、もちろんそんな音源が入っているはずがありません。

反射的に私はスマホに繋いだケーブルを引き抜きました。
全くの不意打ちに体が固まった時間を考慮しても、その音が流れた時間は恐らく10秒にも満たなかったと思います。

「今の何だよ!?」
車内はそんな会話でもちきりになりましたが、もちろん誰もその答えを知るはずがありません。ですが、私以外の2人も共通して言うのは、今のはお経だったということでした。

何かの影響で混線のようなことが起きた可能性はあるのかもしれません。事実、ワイヤレス式のトランスミッターを使っている際に、他の車が聞いているであろうラジオの音を拾ってしまうことはあります。ただ、その場合はぼやーっとした音が入り込むだけで、あくまで音を拾うといった程度のこと。今回のように曲そのものが変わるなんて聞いたことがありません。
第一、今回のように有線で音楽を流している際に混線が起きたことは未だかつててありませんでした。もっと言うなら、そもそも周りには他の車なんて一台も通っておらず、拾う先の音を流しているものがないのです。

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もう一つの怪異

そこで私のスマホに着信があった。見ると、当時同棲していた彼女からでした。
ちょうどいい、今あったことをすぐにでも第三者に伝えたい気分だ・・・と電話に出ると、私以上に興奮しているのがわかります。

「いま、帰ってきた!?」

様子がおかしいのです。取り乱す彼女を宥め、ようやく聞き出せた話はこうでした。
私たちが車の中で怪異に襲われているまさにその時、遠く離れた私の自宅のドアがノックされたといいます。
初め、彼女は私が帰宅したのかと思いました。だけど帰宅するにはまだ早い時間であるし、私なら自分で鍵を使って入ってくるはずです。不審に思い躊躇していると、鍵のかかったドアノブを何者かが何度も、何度も激しく回し始めたそうです
それで酷く動揺して、確認のためにも電話をかけてきたということでした。

お経が流れた事と、ドアノブが回されたことの関連性は分かりません。ただ、私が思うのは、何故日頃は起きない異変が同時に、そしてこのタイミングに起きたのだろうということです。
富士の樹海を走っている最中に、普段は起こらないカーステレオの混線が起こり、たまたま他の住人が間違えてウチのドアノブをしつこく何度も回したということがあるのでしょうか。

考え難い偶然がいくつも重なる、それ自体が怪異に他ならないのではないかと私は思うのですよね。今でも3人集まると、必ずこの時の話になります。

思うこと

改めてこう思い返してみると、やっぱり不思議な体験でした。

怪談の中でも書いたように、仮に何かの音をたまたま拾ってしまったのだとしてもこの時周囲に車はいませんでした。
もちろん後から思い出すことなので勘違いなんかもあるのかもしれません。(心霊写真で「その時周囲に人はいなかった」などの証言もあやふやですよね)
ただ当時、私たちはわざわざ「周囲の音を拾うような車なんてなかったよな?」という確認をお互いにしたんですよね。その為、後から記憶が改竄されて勘違いが起きているという可能性は限りなく低いかと思います。
百歩譲ってあの周辺に車以外の、お経を流す施設のようなものがあったのだとしてもそれはそれでめちゃめちゃ怖いです。

オカうさ
オカうさ

それだけは絶対怖い

また、これは誰かが話しているのを偶然聞いたことなので詳細が全く分からないのですが、一説によるとレジェンド・稲川淳二さんも樹海でお経を聞いたことがあるとかないとか。
やっぱりあそこらへんには何かがあるのかもしれませんね。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。

少し長くなってしまいましたが、私自身が青木ヶ原樹海で体験した唯一の怖い話です。
もちろん私にとってはものすごく怖い体験だったのですが、こうして文字にするとそれを全然伝えられている実感がせず(笑)、やはり新耳袋は凄いなと感じました。

オカうさ
オカうさ

修行させてください

※22年1月、半年以上「修行」を積んだ上で本記事を書き直してみましたが、その出来は果たしていかがでしょうか・・?

絶対に読んでほしい怪談書籍、名著「新耳袋」をご紹介


しかし改めて考えると、やはり不思議な現象だったなと感じます。

私が体験した話は残念ながら?これくらいですが、他にも実際に私が人から聞いた話をいくつか書いていますので良ければそちらもあわせてご覧ください。

それではまた。