こんばんは。
先日、書籍「沖縄の怖い話」を紹介しました。
そこからちょくちょく沖縄の話を出してしまうのは決して夏を前にして私の魂が奪われてるからではなく(沖縄ではびっくりすると「魂が落ちる」とされているそうですよ)、この本が良著だったからです。

青い海と黒いギャル…
沖縄の魂がおちてしまう話についてはこちらをお読みください。

さて、そんな「沖縄の怖い話」ですが、そこに出てくる現象はどれも我々がいつも聞く怪談とはどこか違い、異国情緒があって神秘的な、とても興味深いものばかりでした。

その中でも特に私が興味を惹かれたのは「神ダーリ」という現象です。
これは神様にある種、“取り憑かれる”ことを指すのだそうです。
「神様に取り憑かれる」。
これだけでこれ以上ないってくらいに好奇心をそそられますよね。
また、そんな神秘的な概念が普及している生活というのが、すごく気になります。
というわけで、今日は「神ダーリ」についてのお話をしてみようかと思います。
目次
神ダーリとは?
神ダーリとは神懸かり、つまり神様に取り憑かれた状態のことを指します。
神ダーリの説明について、
それまで普通の生活をしていた人間が、いきなり神がかり的な行動や言動をし始めて、一般的には神が乗り移ったとされる状態の事を指す。
「沖縄の怖い話 十八 フツダーミ」から引用
と小原猛さんは書かれています。
「今思えばあんな前兆あったよね」といった前触れがなく、ある日いきなりフッとそんな状態になるところが「乗り移った」感がありますよね。
本の中では通学途中にいきなり神ダーリになってしまい、1年間もその状態に悩まされた女子中学生の話が書かれていました。
ユタの通過儀礼としての一面も
さて、沖縄には「ユタ」と呼ばれるシャーマン的な存在がいます。

怪談を読んでいれば拝み屋という言葉をよく目にしますが、ユタの場合はもっとシャーマニズムが強い印象です。
沖縄ではそういったユタが集落ごとに1人はいるのだとか。
そしてユタとして活躍している方の殆どがこの神ダーリを経験した過去があるらしく、ユタになる為のある種の通過儀礼的な側面があるらしいのです。
この神ダーリにかかると、客観的にはまるで分裂症や解離性障害といった精神病疾患にかかったような状態になってしまうのだとか。
具体的な症状としては、おかしな声が聞こえるようになったり、まるで夢遊病のように無意識の状態で徘徊をしたり、変なものが見えるようになったりですね。
トランス状態とも言えますでしょうか。

ただ、先述のようにこの神ダーリには通過儀礼の一面があるので、その状態も自然と治るのだそうです。
そしてその経験を経た人が、ユタとなって活躍するんですね。とても興味深いです。
- 神ダーリとは神様に取り憑かれた状態のこと
- それはある日いきなり起きる
- ほとんどのユタがこの神ダーリを経験したことがある
- まるで精神病を患ったような症状があらわれる
- ある日、自然と治る
そもそも神様が人に取り憑くなんてあるのか?と本土出身の頭がカチカチな私なんかは考えてしまいますが、沖縄においてそういった神秘はまだ身近にあり、日常生活の中で存在しているのだとか。
もちろん全員がそんなことを信じているわけではなく若い奴らは違う、なんて意見もあるでしょうが、是非とも自分の肌で体験して確かめてみたいものです。
ちなみに「沖縄の怖い話」では神ダーリと記載されていましたが、他の文献では「カミダーリ」「カンダーリ」「神障り」とされているものも多数見かけました。
神ダーリにかかった人の例
それでは神ダーリにかかってしまった人の話をより具体的に見ていきましょう。
30代半ばから神ダーリが始まった女性の話です。
それは道を歩いている途中にいきなり始まったのだとか。

意味のわからない言葉がいきなり頭の中にひらめいて、それが一人でに口から出たといいます。
それから倦怠感と胸の圧迫感を覚え、急に足腰が立たなくなってしまったそうです。
他にも神様に無理やり喋らされるようになり、他人からすれば一見、独り言を言うようになってしまったのだとか。
「神の道に立て」と神様から催促されることも度々あったそうです。

おそらく「神に仕えろ」ということでしょう
また、学校でいきなり神ダーリしてしまった女性の例も「沖縄の怖い話」では語られています。
第二巻の「二十一 神ダーリ」では学校でいきなり様子がおかしくなり、上の話と同じく訳のわからない言葉をくり返し、暴れたり、白目を向いて失神したりした女性の話が紹介されていました。
このように、いつもの様子とは違う状態が顕著にあらわれるのが神ダーリなのだそうです。

- 30代から半ばでいきなり神ダーリをした女性の例もある
- その人は道を歩いていていきなり神ダーリした
- 自分でも意味のわからない言葉を発するようになってしまった
- 他にも倦怠感や、立てなくなったりもした
- また、同じく神ダーリをして暴れたり、失神する人もいる
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神ダーリの原因
ではなぜこのようなことが起こるのでしょうか?
考えられている原因は2つあります。
神様が取り憑いた説
1つが、その名の通り神に取り憑かれてしまったというものです。
何故、神様が人に取り憑くのでしょうか。
心霊現象ならば幽霊が人に取り憑く目的はおもに、「気づいて欲しいから」「寂しいから」などとされています。
ところが神様の場合は違います。
神様が神の使いとするために試練を与えている、という解釈なのだそうです。
気づいてもらう必要もなければ寂しさも感じないんですね。
「沖縄の怖い話」第一巻の「二十五 米子オバア」では、大昔にいた神様が前世で関わりのあった二百人を同時に神ダーリさせている、なんて話がありました。
この時の神様の目的は「自分の正式な跡取りを選ぶため」でした。
その為に辛い1年間という試練を与えたのですね。
なんとも理不尽な気もしますが。。
精神病説
もう1つの原因と考えられているものが、単なる精神病であるという説です。
というか、残念ながら恐らくこちらの方が現代の社会においては市民権を得ている考えだと思います。
神ダーリの症状を現代医学の言葉で表すと、幻聴・幻覚・妄想・不眠・徘徊・行動の異常・もうろう状態etc…となるそうです。
いかにも何かしらの病気に当てはまりそうに見えます。
統合失調症や精神分裂症などの症状に似ているとの意見も見かけました。

ただ、実際に医学的な見地から神ダーリを見ると、症状が一過性なことと「患者」のコミュニケーション能力がしっかり保てていることなどから、既存の疾患では分類できないとされているそうです。
また、一般的な医療処置を施しても症状が改善しないことが多く、結局そうなれば患者はユタの元へと送り出されるそうです。
沖縄では「医者半分、ユタ半分」という言葉もあるらしく、ユタが医者に診てもらうことを勧めたり、逆に医者がユタに行くことを勧めたりすることもあるようです。
私は医者ではないので神ダーリが精神病かどうかはわかりませんが、どうも一概に病気だとは言えない、というのが現状なようです。
ちなみに
ちなみにYahoo!知恵袋で偶然こんな質問を見つけました。「沖縄に精神病院が多いのは何故ですか?」という質問です。
今まで語った神ダーリの話と上記の質問だけを並べると、「神ダーリは沖縄の文化病だ。その証拠に精神病院数も多いじゃないか!」と結論を急ぎたくなります。
そこで早速調べてみたのですが、沖縄が他県に比べて精神科病院数が多いという事実は見つけられませんでした。厚生労働省が発表している「医療施設調査 2012」によると、沖縄の精神科病院数は全国26位なようです。
何かが多い・少ないというのは他の対象と比較して考えた時に生まれる概念なので、沖縄に精神科病院が特に多いとは言えないでしょう。
ただ一方で、精神科・心療内科医師の数はというと沖縄は全国一位だそうです。(2014年)
これは精神科病院の病床数と正の相関関係にあるようで、そちらは全国で11位。(2012年)
これらは全国的に見ても突出していると言って良いでしょう。
つまりこれらのことから何が言いたいのかというと、
私には結局何がなんなのかよく分かりませんでした。
まあ神ダーリが発症したとされる人の数は年間数百人なそうなんですが、年間その程度の人数が発症したくらいで病院としての需要が増えるのかと言われればどうかなって思います。どうなんでしょうね。

途中まで良い調子だったのに、、また次回頑張ろうね
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神ダーリが治る経緯
残念ながら原因が分からない以上、神ダーリの治し方というのは分かっていないそうです。
先ほども書いたように自然と治るのでそれを待つしかないものと思われます。
ただ、そうは言っても神ダーリにかかっている本人、あるいはその家族の方などはとても辛い思いをされているかと思います。
神ダーリについて調べている時に、20代で神ダーリして、入水しようとしたという女性の話まで見つけることが出来たからです。
結局その方は入水しようと海に入った時に海中に神様の無限の顔が現れて「帰れ」と恫喝してきたので断念した、とのことだったのですが、恐らくそれくらい辛いものなのでしょう。
ということで、慰めになるかはわかりませんがせめて神ダーリが治るキッカケとなったという話をご紹介したいと思います。
神様には目的がある
先ほどの入水した女性の話です。
彼女の神ダーリが止まったのは、打ち捨てられた井戸に出会った時だったそうです。
その井戸は不法投棄なのかゴミでいっぱいに埋められていて、挙げ句の果てには学校を建てるために取り壊す予定まで出来ていたのだとか。

神ダーリでもうろうとする中、直感的にこれが原因だと感じた彼女は必死に工事の中止を訴えます。
これを打ち壊したら災いが起きるということを説得して回ったそうです。
もちろん、本来ならばそんな声に耳を貸してもらえるはずがないでしょう。
ところが、そこになぜか子供たちのケガなどが相次ぎ、物の見事に工事は中止となったそうです。
彼女が言うにはどうやらその井戸は忘れられた御嶽なんだそうで、祀り始めるようになったと同時にあれだけ悩まされていた神ダーリもピタリと止んだそうです。
彼女はこれを神様が安心したから神ダーリが治ったのだと話していましたが、もしかしたら「神様を安心させること」こそが彼女に与えられた試練だったのかもしれませんね。
体験に出てきた御嶽とは違いますが、こういった物が御嶽と呼ばれるそうです。
ユタに外してもらう
ちなみにこのように「神ダーリ」してしまった場合、力のあるユタによって「外してもらう」ことが出来るそうです。(失敗することもあるそう)
ただ外してもらうといってもその宿命から逃れる事は出来ないらしく、来世にその役目を先延ばしにするだけで生まれ変わった時に再び神ダーリをしなければならないのだそうです。
- 神ダーリは力のあるユタによって外してもらうことも出来る
- しかしその場合、来世でまた神ダーリをしなければならない(宿命からは逃れられない)
どういう人がかかるの?
上の「原因」からもお分かりいただけるように、神ダーリについてはなんら科学的に解明されておりません。
症状は確かにある、だけれどもそのメカニズムも分からなければ当てはまる病名もない。そんな状況です。
その為、どういった条件を満たした人がこれにかかってしまうかは分かりません。再現性が無いのですね。
一説によると元々がユタや「ノロ」(村の祭司を行うために任命された役人)などのシャーマン的な家系の者に出やすいのだと言われているそうなのですが、数世代前に本土から渡ってきたようなシャーマンと関係のない家系からも出る場合もあるらしく、結局はよく分からないというのが現状らしいです。
- どういう人が神ダーリをするかは明確にはわかっていない
- 一説には血筋に影響されるとされているが、確かではない
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
それでは本日の記事のまとめとなります。
- 神ダーリとは神さまに取り憑かれた状態のこと
- それはある日、いきなり起こる
- 原因は不明
- 一般的に精神病にかかったような症状があらわれる
- ユタに「外してもらう」こともできるが、そうすると来世でまた神ダーリしなければならない
- 大概は自然と治る
精神病の説に対しての考察では途中で投げ出してしまい申し訳ありませんでした。
途中までは本当に真剣にデータを見て考えていたのですが、医師の数1位!からの、でも病床数はそこまで多くない11位だよ〜の状況で完璧に頭がショートしてしまいました。(さらに実際にはランキングではなく人口比で見てた為、なお疲れた模様です。)

ちょっと難しかったね
ただ、世の中に解明出来てないことなんてごまんとあるだろうって私は思うんです。
知ってましたか?
私たちが毎日体験する睡眠でさえも、眠くなる仕組みは未だ解明されてないらしいですよ。
既成の科学に当てはめて考えてこの世の全てが説明できるとは到底思えません。
今回の件で言えば、私はやっぱり精神病ではなく、神様に魅入られてるんじゃないかな〜と思います。
ちなみに神様に迷惑をかけられる類の話は他にも書いてます。

沖縄、良い所ですね。
それではまたお会いしましょう。
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